機動戦士ガンダムUC 二次創作 機動戦士ガンダムUC理想への旅 第21話 レゾンテートル
アナハイム・エレクトロニクス フォン・ブラウン工場。
アムロとカミーユの専用機である、2機のガンダムはここで製造されている。
かなり形になっており、残すところは、ほとんど最終調整のみである。
宇宙港についたアムロとカミーユを、オクトバーと数人のスタッフが出迎えた。
「かなりの突貫工事になりましたが、当初の予想より早く組み上げることに成功しました。我が社の技術の粋を結集した、最高傑作です。」
開発指揮を執っているオクトバーが、誇らしげに2人に説明する。
設計をしたのは、アムロとカミーユである。
それを基に、開発されたガンダムは2人にとっても誇りになる。
オクトバーはそう考えていたが、同時に眉を顰める点がある事も当然理解していた。
「どういうことだ?渡した設計図と比較すると、大分手直しをしているようだが?」
アムロが、横目でオクトバーを見る。
「あれ、通常のスラスターじゃないですよね?どういうことです?聞いてはいないのですが…?」
カミーユが、真正面からオクトバーを見る。
「理由があってね。設計図は、大幅に見直させてもらったよ。」
アムロ達の前日に到着したキャスバルが、理由を説明する。
「はい。様々な理由から、各部を徹底的に再設計し、新技術を大胆に導入している面が多々あります。最初に言っておきますが、お二方の設計が問題だったという事ではありません。それに関しては、後ほど。では、説明を始めさせていただきます。」
オクトバーにしては珍しく、やや強引に説明を始める。
「理由は、後で説明する。まずは、機体説明を聞いてほしい。」
「解った…。」
「はい。」
すぐにでも文句を言いたいのを、アムロとカミーユは我慢する。
νガンダムは。装甲材とムーバブルフレームに、新型の素材であるガンダリウムΖコンポジットを採用。
コストは高いが、防御力に優れ、より軽量化に成功している。
ジェネレーター出力とスラスター推進力を大きく引き上げることで、高出力ビーム兵装を多数使用することが可能であり、重武装になっても引き上げられたスラスター推進力の恩恵を受けて、機動性は十分に確保される。
「基本装備は、従来技術の延長線にある物ですが、堅実で、性能面でも優れています。」
ビームライフル、シールド内臓ビームキャノン、ジャベリンシールド三連装ポッド、280㎜ニューハイパーバズーカ、腕部76㎜ガトリング砲、頭部57㎜無反動リヴォルバーカノン、ビームサーベル、ヒートソード一体型ビームソード。
成熟した技術を吟味して、武装は信頼性が十分に確保されており、アムロを十分に満足させた。
「追加兵装も用意させました。少々、変わっていますが、中佐なら十分に扱えるかと。」
ランスに似た形状をしており、大出力メガ粒子砲とビームエッジが融合した多目的追加兵装”パイドルスピア”。
ガンダリウム合金製でできた槍の穂先状の攻撃用デバイスであり、サイコミュで制御され、自在に動き敵を斬り裂く背部8連装サイコミュデバイス”スロウランサー”。
νガンダムの兵装の中で、最大の火力を誇るハイメガバズーカランチャー”バスターランチャー”。
νガンダムのジェネレーターでも十分に稼働可能だが、エネルギーチューブで動力を伝達することでより出力を向上させることが可能である。
「データを収集して、フィンファンネルも完成しました。設計通りの性能を発揮できると、断言できます。様々な兵装を使いこなすには優れた技量が必要になりますが、中佐なら問題ありませんよ。小型化に成功したミノフスキークラフトを搭載することで、地上でもある程度の飛行は可能です。次は、Zガンダム。社内名でテロスと呼称していますが、最大の特徴として、MSサイズまでダウンサイジングに成功した、核パルスエンジンです。」
「…!成功していたんですか!?アナハイムが開発中だと、噂は聞いていましたが…!」
驚いたカミーユは、オクトバーに確認をする。
巨大な隕石や衛星に搭載され、核爆発による推進機関として利用されるのが小惑星や隕石で使用されるのが、核パルスエンジンである。
ブリッジ・ワークスで開発されたものは、核兵器を燃料ペレットにするのではなく、ヘリウム3と重水素を主成分とする燃料ペレットと高出力レーザーを用いる事で核融合を起こし推力を生み出す、大型艦戦や大型輸送艦に採用されているレーザー核融合方式をより小型化させて、MSでの運用を可能にしたものである。
これにより、従来の可変機では考えられない加速性能、機動性、運動性を持たせることを狙いとしており、すでにいくつかの試験機で様々なデータを得ていた。
テロスにはこれが装備されており、加速や巡航性能ではZ系のあらゆるMSを凌駕している。
「高速巡航、長距離巡航が可能な点を最大限に活かしつつ、武装は充実しています。以前に試作されたMSのデータを反映させました。変形時の状態をウェーブフォートレスと呼称しています。」
ウェーブフォートレス時は、ツインビームスマートガン、機首203㎜速射砲、背部ジャベリン12連装ランチャー、腕部ヴァリアブルシールド内蔵マイクロミサイル、背部メガビームキャノンを使用可能。
その火力は、戦艦にも匹敵する。
MS時はこれに加えて、腕部内蔵76㎜ガトリング砲、頭部57㎜無反動リヴォルバーカノン、頬部30㎜バルカン砲が使用可能となる。
多数の兵装を搭載したテロスは、まさにハリネズミ状態だった。
「多数の兵装を搭載した分、かなりの重量級になる事が予想された為に、素材をさらに見直しました。その結果、ガンダリウムΖをさらに軽量化した、ガンダリウムηの開発に成功。これを使用しています。これにより、総重量の抑制に成功しました。それでも重い機体ですが、核パルスと補助スラスターにより高い機動性を発揮します。コックピット周辺にも、新機軸を…。」
「中で頼む。」
機体の説明を聞いて、自分が想定したよりさらに優れていることを確認したアムロは、ひとまずオクトバーへの文句を溜息と一緒に排出した。
「シートの後ろに、サイコミュ受信パックを再設計した、我が社独自のサイコレシーバーがあります。」
「この状態で、モニターはつくか?」
「はい。」
オクトバーが、電源を入れる。
すると、周囲の作業員の脳波を感じ取ることができた。
「うん。いいね。敵の脳波をサイコミュで強化して受信すれば、一手早く対応できるからね。」
メインコンソールを操作しながら、アムロは一つ一つチェックを行う。
「Zのバイオセンサーより、ずっとクリアですね。その辺りが再設計の成果ですか?」
Zガンダムには、敵の感応波を感知して先手を打つバイオセンサーが搭載されていた。
カミーユは、νガンダムに装備されているサイコレシーバーの方が、ずっと的確に感じられる気がした。
「ティターンズ残党のGドアーズの技術も含めて、以前から続いていた、サイコミュのダウンサイジング研究の成果で、フレームにサイコミュを内蔵することに成功しました。」
「内蔵?どういうことですか。」
サイコミュの内蔵という点に、カミーユは強く関心を持つ。
「このコンピュータチップは、サイコミュ機器を限界まで小型化したものです。大きさは金属粒子レベル。そして、フレームに鋳込んでいます。これにより、メインとなるサイコミュの性能を著しく増幅させることが可能となっています。ムーバブルフレームの関節部をはじめとする各部に組み込むことで、機体の追従性も、従来のニュータイプ専用機と比較にならない程向上しています。サイコフレームと名付けました。」
タブレットに、フレームの資料を呼び出してオクトバーは説明する。
「すごいアイデアだな。ティターンズ残党の機体の技術が、サイコミュのダウンサイジングに拍車をかけたか。」
何がきっかけで、技術が進歩するか解らない。
アムロとカミーユは、それを感じていた。
「テロスにも、同様の技術を使用しています。可変時のスピードも、ハン博士が開発したリニアコーティングを施すことによって、Zの半分に短縮することに成功。Z系は可変時が無防備になりがちでしたが、それもかなり解消されています。」
テロスの可変データを呼び出して、可変時の時間を基に無防備となるリスクの減少に関して説明する。
「サイコフレームに関しては、こちらでも性能をテストしたい。いいかな?」
今までの研究の積み重ねではある物の、非常に革新的な技術であるサイコフレームに関しては可能な限りテストをしておきたい。
そう考えたアムロは、オクトバーに希望を伝える。
「解っています。どうぞ、気が済むまでテストなさってください。」
「ありがたい。ところで、実戦装備終了まで、何日かかる?」
実戦配備前の作業が終わらなければ、戦うには不安が残る。
最終工程に関して、期間をアムロが尋ねる。
「そうですね。7日というところでしょうか。」
「3日に短縮できないかな?無理を言って申し訳ないが、隊長と副隊長を欠いたままというわけにもいかんのでね。」
「解りました。急がせます。」
頷いたオクトバーは、通信機を手にする。
「さてと。話を聞くとするか。」
別室で、アムロはキャスバルの話を聞こうとする。
「その前に、改めて言っておこう。二人の設計案だが、決して悪い物じゃなかった。これは、ナナイも認めている。」
まず言うべきことを決めていたキャスバルは、口を開く。
「が、今の状況には力不足だ。軍縮で可能な限り開発費やコストパフォーマンスの圧縮が求められているならいざ知らず、ハイスペックマシンを求められていた。」
「だからといって、湯水の如く金と新技術をつぎ込めばいい訳じゃない。技術的な検証ができていない新技術を集めた機体じゃ、運用面では問題になる。それを考慮した設計だ。それのどこか駄目だというんだ?」
新技術は、開発されて日が浅い事が頭痛の種になる事もある。
だが、いわゆる枯れた技術。
十分に欠点を解消された技術なら、何の憂いもなく使用し、機体の運用性にもほとんど問題が出ない。
コストパフォーマンスだけでなく、アムロとカミーユが考慮したのはこの点でもある。
特にZは当時から新技術を多数搭載してハイスペックなMSになったが、非常に整備性の悪いMSとなりハイコストな機体でもあった。
それを考慮して、今までの系列機の変形機構を取り入れて堅実な設計になっている。
「アムロとカミーユが使うMSだからだよ。それ故に、ただハイスペックなMSでは不足だ。堅実な設計故の高い運用性が、有用なのは認める。パーツの規格にしても標準的で大量生産されている物を使用すれば、長期戦時には量産機の物も流用できる場合も考えられる。現にジェガンはジムⅡやジムⅢといった量産機を圧倒する性能を有していて、部品も大量生産品としては優れていて流用しても問題ないかもしれない。が、それで2人の技量を100%発揮されないという事態は、避けなければならない。100%発揮するために、ハイスペック・ハイコストマシンが必要なら、製造する。それに関する面倒ごとの諸々は、我々が解決する。それが役目だからね。2人は、100%実力を発揮するのが仕事だ。言ってしまえば、それだけを考えてくれていればいい。パーツに関しては、総量を増やして十分な数を確保する事で話がついている。」
「何で、そこまでする必要があるんですか?確かに、実力を100%発揮できるMSはありがたいです。同時に、その点に、ある意味病的にこだわる事には、疑問を持ちます。」
カミーユの疑問を聞いて、キャスバルは小さく頷く。
「これから見せる情報は、他言無用だ。ブライト以外にはね。それぐらい危険な事だからだ。」
入念にハッキング及びウィルス対策を施したノートパソコンには、以前にキャスバルがつかんだシナンジュ・スタイン強奪事件が表示された。
「何だ、これは?聞いたことすらないが…。」
事件のあらましに目を通したアムロは、このような事件があることに驚きを感じた。
「この、シナンジュ・スタイン…。設計思想は初めて見ました。僕やレイ中佐だけでなく、ノア司令も知らないとしたら、何らかの考えの為に隠蔽された。と、考えていいでしょうか?」
「そうだ。中々、鋭い所をつくな。カミーユは。この情報を掴んだ後にさらに探ったが、端的に言えば保身のためだ。しかも、生命のな。」
「そんなに、ヤバい事なのか?」
キャスバルの言葉から、アムロは危険な真実に近づきつつあることを感じた。
「何しろ、女帝が関わっている。確証が掴めた。」
それを聞いたアムロとカミーユは、心臓が飛び上がるような感じがした。
高級士官ともなれば、政財界に関しても相応に頭に入る。
故に、マーサ・ビスト・カーバインの名は、ある種の恐怖だった。
「どういうことだ…?」
冷水を飲んで口腔内を湿らせたアムロは、専用MSの開発とマーサとの関りについて尋ねた。
「このシナンジュ・スタインだが、グラナダ工場で女帝の命で極秘製造された。ムーバブルフレームにサイコフレームを組み込み、パイロットの思考を動作にダイレクトに伝える設計思想。そして、サイコフレームの製造施設。どちらも最初はグラナダだ。νガンダムとテロスの設計を通じて、フォン・ブラウン工場も製造技術は身に着けたし、サイコフレームの製造施設もある。だからこそ、今使用できる技術を結集したハイスペックMSが必要なんだ。女帝が何を考えているかは引き続き調査しているが、まだ解らない。が、明らかに、MSが小さくないウェイトを占めている。それに、強奪事件で袖付きに奪われている以上、さらに高性能な機体に改修。もしくは、入手したサイコフレームを使用した、袖付きの新型機が製造されているかもしれん。それ故の、ガンダムだ。最低でも、シナンジュ・スタインを超える性能を持つな。考えてみろ。軍の上層部が、アムロとカミーユにガンダムの組み合わせにいかに難色を示すか。いや、そんな生易しい物じゃないか。恐怖と言った方が早いか。それでも、製造にゴーサインを出した。シナンジュ・スタインの件と、それを起点とする何らかの事件が起きると予想し、真相を知られないまま、収集準備をして、目的を果たす。これが目的。私はそう考えた。」
ひとまず、キャスバルは水を飲む。
「話はよく分かった。女帝は一種の病的権力志向主義者とも言われているから、シナンジュ・スタイン事件はそれと関わりがあるのかもしれないな。で、そっちの思惑は何だ?真実を暴き立てて、保身に明け暮れる上層部を掃除するというわけでもなさそうだな。そっちはそっちで、思惑があるんじゃないか?」
アムロがそう言うと、カミーユも頷く。
「君たちは、ただのエースパイロットではないからだよ。ロンド・ベルの、中心というだけではない。ある意味、スペースノイドの希望でもある。人類が宇宙に出て、スペースノイドは虐げられ続けてきた。私はそれを変えるために、議員になった。カイ・シデンの言葉じゃないが、狙えるのなら大統領も狙おうと最近は考えるようになった。そして、スペースノイドへの差別の解消は、相応に進んでいる。その中で、君たちはスペースノイドでも実力に相応しい地位につけるという例であり、希望なんだ。嘗て連邦にはティターンズがあった。連邦政府の治世に対し少しでも反感を覚えたコロニーの民衆を強制的に鎮圧して、場合によっては毒ガスを注入して、皆殺し。我々は、エゥーゴに集いそれを正すために戦った。そして、ティターンズを打倒することができた。そして、今は、出自に関係なく、軍人としての実力と人格面を精査して入隊が許可されるロンド・ベルがある。司令であるブライト。補佐役にして旗艦の艦長であるメラン。そして、MS隊の中核である百戦錬磨のエースパイロットである、アムロとカミーユ。全員がスペースノイドだ。以前は、こんなことは考えられなかっただろう。この中で、特にスポットライトが当たるのが君たち二人だ。それ故に許される範囲で専用機を与えたい。それだけでも、スペースノイドには差別がさらに解消したと映る。それ位、2人は希望なんだ。そして、切り札でもある。女帝に対してのね。他のエースパイロットでは、女帝への切り札とはならない。その力は、あくまで戦術面に留まる。だが、歴戦のニュータイプにして歴戦のエースパイロットであるアムロとカミーユは、女帝としても他のパイロットたちとは認識が違う。戦略的に力を発揮する。グリプス戦争の時のカミーユの様にね。」
最初は、一パイロットでしかなかったカミーユは、ニュータイプとしての素質を開花し、功績を積み重ねていくことで、ティターンズはエゥーゴの中心的存在と見るようになり、重要目標とするようになっていた。
実際、カミーユが戦死していたら、グリプス戦役においてエゥーゴの勝利はなかったと見る軍事専門家は多数いる。
ロンド・ベルのMS隊の中心ではあるが、アムロとカミーユは同様の存在となっている。
専門家だけでなく、キャスバルもそう見ていた。
「つまり、僕たちに、女帝に対抗できる存在になって欲しい。その為には、専用機であるガンダム。しかも、現状可能なハイスペックMSを駆り、女帝が何らかの手を打った時でも、思惑をひっくり返せる存在になって欲しい。そういう事ですね?」
自分なりに解釈して、カミーユが確認する。
「過大評価と思うかもしれないが、左遷させるにしても、後の人材には女帝も当てがないだろう。地球の危機を救うべく、独自の裁量権、新鋭艦による艦隊、通常部隊より優れたMSと人材による部隊を擁するロンド・ベルの中心にいる君たちは自由に動かせない。それだけでも、女帝の戦略的な手段を潰しているんだ。何を企んでいるかは、まだ調査が必要になるが、その間、軍を玩具の様にいいように扱われるわけにはいかん。それが可能な数少ない存在が、君たちやブライトなんだ。今回の件、心から詫びる。が、どうしても必要だった。それを理解してほしい。袖付きにしても、このままという事はないだろう。そちらにも備えておきたい。サイド4に関しては連携が取れているので心配はいらないが、他のサイドに関しては救援の主力は間違いなくロンド・ベルになる。そういうことでもある。」
そう言って、キャスバルは頭を下げた。
それを見て、アムロは溜息をつく。
「そうまでされたら、批判はできないな。女帝の思惑は僕達には見当もつかないが、やれることはやるよ。軍務に精励することで、さらに戦略的な自由度を狭めることができるのなら、いくらでも精励するさ。が、政治関連は、そちらに任せるぞ。大昔じゃないんだから、軍人が政治に口出しをするのは国家として健全とは言えないからな。あれだけのMSを用意してくれたんだ。成果は出してみせるよ。但し、二度は許さないぞ。」
「ああ。解っているさ。本当に済まない。そして、理解してくれてありがとう。」
後書き
遂に、アムロとカミーユの専用機であるガンダムが、お披露目です。
しかし、それは2人の設計思想とは真逆の、札束で作られた山を原資とした超ハイスペックMS。
以前にナナイが評したように、コストパフォーマンスを抑えたMSとしては、まさに傑作。
が、求められたのは、使用可能な技術を盛り込んだハイスペックMS。
シナンジュ・スタイン強奪事件。
軍でも政府でも知っている者はほとんどいない、極秘事項。
そして、まだ霧の中にあるマーサの思惑。
これ以上、マーサに好き勝手にさせないためにも、必要なのがハイスペックなニュータイプ専用MS。
独自行動権限を与えられているロンド・ベルですら知らなかった、シナンジュ・スタイン強奪事件。
そこから施行を進めていくと、明らかに何らかの形でMSが関わっていく。
それ故に、アムロとカミーユに相応しい、ハイスペックサイコミュマシン。
2人は、それを理解しました。
但し、アムロとカミーユも許すのは一度迄、今度やったら許さないという条件付けで。
いずれにせよ。これで、キャスバル側にとっての最強のMSが遂に完成。
マーサがどう出るかは解りませんが、これで戦術面では互角以上の勝負が可能となります。
地球には、ユニコーンと共にバナージらが下りています。
そこが、ユニコーンが提示した第二のポイントであることは、マーサも理解しているでしょう。
それを知ってマーサはどう出るでしょうか?
さて、ガンダムの頭部にあるのはバルカン砲ではなく、無反動砲です。これは、第二次世界大戦中にドイツで開発された、Düsenkanone方式と呼ばれる方式で、発射時に生じる燃焼ガスをパイプを通じて別の場所に放出するタイプで、この形式を採用した対物20mm狙撃ライフルとして、RT-20があります。
Zガンダムテロスは、ダブルZの色が濃いですね。ちなみにテロスは、ギリシャ語で完成、到達等を意味します。

HGUC -GUNPLA EVOLUTION PROJECT- 機動戦士Zガンダム ゼータガンダム 1/144スケール 色分け済みプラモデル

HGUC 1/144 ZZガンダム (機動戦士ZZガンダム)

HGUC 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア νガンダム (ヘビー・ウエポン・システム装備型) 1/144スケール 色分け済みプラモデル

HGUC 機動戦士ガンダムNT シナンジュ・スタイン (ナラティブVer.) 1/144スケール 色分け済みプラモデル
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アムロとカミーユの専用機である、2機のガンダムはここで製造されている。
かなり形になっており、残すところは、ほとんど最終調整のみである。
宇宙港についたアムロとカミーユを、オクトバーと数人のスタッフが出迎えた。
「かなりの突貫工事になりましたが、当初の予想より早く組み上げることに成功しました。我が社の技術の粋を結集した、最高傑作です。」
開発指揮を執っているオクトバーが、誇らしげに2人に説明する。
設計をしたのは、アムロとカミーユである。
それを基に、開発されたガンダムは2人にとっても誇りになる。
オクトバーはそう考えていたが、同時に眉を顰める点がある事も当然理解していた。
「どういうことだ?渡した設計図と比較すると、大分手直しをしているようだが?」
アムロが、横目でオクトバーを見る。
「あれ、通常のスラスターじゃないですよね?どういうことです?聞いてはいないのですが…?」
カミーユが、真正面からオクトバーを見る。
「理由があってね。設計図は、大幅に見直させてもらったよ。」
アムロ達の前日に到着したキャスバルが、理由を説明する。
「はい。様々な理由から、各部を徹底的に再設計し、新技術を大胆に導入している面が多々あります。最初に言っておきますが、お二方の設計が問題だったという事ではありません。それに関しては、後ほど。では、説明を始めさせていただきます。」
オクトバーにしては珍しく、やや強引に説明を始める。
「理由は、後で説明する。まずは、機体説明を聞いてほしい。」
「解った…。」
「はい。」
すぐにでも文句を言いたいのを、アムロとカミーユは我慢する。
νガンダムは。装甲材とムーバブルフレームに、新型の素材であるガンダリウムΖコンポジットを採用。
コストは高いが、防御力に優れ、より軽量化に成功している。
ジェネレーター出力とスラスター推進力を大きく引き上げることで、高出力ビーム兵装を多数使用することが可能であり、重武装になっても引き上げられたスラスター推進力の恩恵を受けて、機動性は十分に確保される。
「基本装備は、従来技術の延長線にある物ですが、堅実で、性能面でも優れています。」
ビームライフル、シールド内臓ビームキャノン、ジャベリンシールド三連装ポッド、280㎜ニューハイパーバズーカ、腕部76㎜ガトリング砲、頭部57㎜無反動リヴォルバーカノン、ビームサーベル、ヒートソード一体型ビームソード。
成熟した技術を吟味して、武装は信頼性が十分に確保されており、アムロを十分に満足させた。
「追加兵装も用意させました。少々、変わっていますが、中佐なら十分に扱えるかと。」
ランスに似た形状をしており、大出力メガ粒子砲とビームエッジが融合した多目的追加兵装”パイドルスピア”。
ガンダリウム合金製でできた槍の穂先状の攻撃用デバイスであり、サイコミュで制御され、自在に動き敵を斬り裂く背部8連装サイコミュデバイス”スロウランサー”。
νガンダムの兵装の中で、最大の火力を誇るハイメガバズーカランチャー”バスターランチャー”。
νガンダムのジェネレーターでも十分に稼働可能だが、エネルギーチューブで動力を伝達することでより出力を向上させることが可能である。
「データを収集して、フィンファンネルも完成しました。設計通りの性能を発揮できると、断言できます。様々な兵装を使いこなすには優れた技量が必要になりますが、中佐なら問題ありませんよ。小型化に成功したミノフスキークラフトを搭載することで、地上でもある程度の飛行は可能です。次は、Zガンダム。社内名でテロスと呼称していますが、最大の特徴として、MSサイズまでダウンサイジングに成功した、核パルスエンジンです。」
「…!成功していたんですか!?アナハイムが開発中だと、噂は聞いていましたが…!」
驚いたカミーユは、オクトバーに確認をする。
巨大な隕石や衛星に搭載され、核爆発による推進機関として利用されるのが小惑星や隕石で使用されるのが、核パルスエンジンである。
ブリッジ・ワークスで開発されたものは、核兵器を燃料ペレットにするのではなく、ヘリウム3と重水素を主成分とする燃料ペレットと高出力レーザーを用いる事で核融合を起こし推力を生み出す、大型艦戦や大型輸送艦に採用されているレーザー核融合方式をより小型化させて、MSでの運用を可能にしたものである。
これにより、従来の可変機では考えられない加速性能、機動性、運動性を持たせることを狙いとしており、すでにいくつかの試験機で様々なデータを得ていた。
テロスにはこれが装備されており、加速や巡航性能ではZ系のあらゆるMSを凌駕している。
「高速巡航、長距離巡航が可能な点を最大限に活かしつつ、武装は充実しています。以前に試作されたMSのデータを反映させました。変形時の状態をウェーブフォートレスと呼称しています。」
ウェーブフォートレス時は、ツインビームスマートガン、機首203㎜速射砲、背部ジャベリン12連装ランチャー、腕部ヴァリアブルシールド内蔵マイクロミサイル、背部メガビームキャノンを使用可能。
その火力は、戦艦にも匹敵する。
MS時はこれに加えて、腕部内蔵76㎜ガトリング砲、頭部57㎜無反動リヴォルバーカノン、頬部30㎜バルカン砲が使用可能となる。
多数の兵装を搭載したテロスは、まさにハリネズミ状態だった。
「多数の兵装を搭載した分、かなりの重量級になる事が予想された為に、素材をさらに見直しました。その結果、ガンダリウムΖをさらに軽量化した、ガンダリウムηの開発に成功。これを使用しています。これにより、総重量の抑制に成功しました。それでも重い機体ですが、核パルスと補助スラスターにより高い機動性を発揮します。コックピット周辺にも、新機軸を…。」
「中で頼む。」
機体の説明を聞いて、自分が想定したよりさらに優れていることを確認したアムロは、ひとまずオクトバーへの文句を溜息と一緒に排出した。
「シートの後ろに、サイコミュ受信パックを再設計した、我が社独自のサイコレシーバーがあります。」
「この状態で、モニターはつくか?」
「はい。」
オクトバーが、電源を入れる。
すると、周囲の作業員の脳波を感じ取ることができた。
「うん。いいね。敵の脳波をサイコミュで強化して受信すれば、一手早く対応できるからね。」
メインコンソールを操作しながら、アムロは一つ一つチェックを行う。
「Zのバイオセンサーより、ずっとクリアですね。その辺りが再設計の成果ですか?」
Zガンダムには、敵の感応波を感知して先手を打つバイオセンサーが搭載されていた。
カミーユは、νガンダムに装備されているサイコレシーバーの方が、ずっと的確に感じられる気がした。
「ティターンズ残党のGドアーズの技術も含めて、以前から続いていた、サイコミュのダウンサイジング研究の成果で、フレームにサイコミュを内蔵することに成功しました。」
「内蔵?どういうことですか。」
サイコミュの内蔵という点に、カミーユは強く関心を持つ。
「このコンピュータチップは、サイコミュ機器を限界まで小型化したものです。大きさは金属粒子レベル。そして、フレームに鋳込んでいます。これにより、メインとなるサイコミュの性能を著しく増幅させることが可能となっています。ムーバブルフレームの関節部をはじめとする各部に組み込むことで、機体の追従性も、従来のニュータイプ専用機と比較にならない程向上しています。サイコフレームと名付けました。」
タブレットに、フレームの資料を呼び出してオクトバーは説明する。
「すごいアイデアだな。ティターンズ残党の機体の技術が、サイコミュのダウンサイジングに拍車をかけたか。」
何がきっかけで、技術が進歩するか解らない。
アムロとカミーユは、それを感じていた。
「テロスにも、同様の技術を使用しています。可変時のスピードも、ハン博士が開発したリニアコーティングを施すことによって、Zの半分に短縮することに成功。Z系は可変時が無防備になりがちでしたが、それもかなり解消されています。」
テロスの可変データを呼び出して、可変時の時間を基に無防備となるリスクの減少に関して説明する。
「サイコフレームに関しては、こちらでも性能をテストしたい。いいかな?」
今までの研究の積み重ねではある物の、非常に革新的な技術であるサイコフレームに関しては可能な限りテストをしておきたい。
そう考えたアムロは、オクトバーに希望を伝える。
「解っています。どうぞ、気が済むまでテストなさってください。」
「ありがたい。ところで、実戦装備終了まで、何日かかる?」
実戦配備前の作業が終わらなければ、戦うには不安が残る。
最終工程に関して、期間をアムロが尋ねる。
「そうですね。7日というところでしょうか。」
「3日に短縮できないかな?無理を言って申し訳ないが、隊長と副隊長を欠いたままというわけにもいかんのでね。」
「解りました。急がせます。」
頷いたオクトバーは、通信機を手にする。
「さてと。話を聞くとするか。」
別室で、アムロはキャスバルの話を聞こうとする。
「その前に、改めて言っておこう。二人の設計案だが、決して悪い物じゃなかった。これは、ナナイも認めている。」
まず言うべきことを決めていたキャスバルは、口を開く。
「が、今の状況には力不足だ。軍縮で可能な限り開発費やコストパフォーマンスの圧縮が求められているならいざ知らず、ハイスペックマシンを求められていた。」
「だからといって、湯水の如く金と新技術をつぎ込めばいい訳じゃない。技術的な検証ができていない新技術を集めた機体じゃ、運用面では問題になる。それを考慮した設計だ。それのどこか駄目だというんだ?」
新技術は、開発されて日が浅い事が頭痛の種になる事もある。
だが、いわゆる枯れた技術。
十分に欠点を解消された技術なら、何の憂いもなく使用し、機体の運用性にもほとんど問題が出ない。
コストパフォーマンスだけでなく、アムロとカミーユが考慮したのはこの点でもある。
特にZは当時から新技術を多数搭載してハイスペックなMSになったが、非常に整備性の悪いMSとなりハイコストな機体でもあった。
それを考慮して、今までの系列機の変形機構を取り入れて堅実な設計になっている。
「アムロとカミーユが使うMSだからだよ。それ故に、ただハイスペックなMSでは不足だ。堅実な設計故の高い運用性が、有用なのは認める。パーツの規格にしても標準的で大量生産されている物を使用すれば、長期戦時には量産機の物も流用できる場合も考えられる。現にジェガンはジムⅡやジムⅢといった量産機を圧倒する性能を有していて、部品も大量生産品としては優れていて流用しても問題ないかもしれない。が、それで2人の技量を100%発揮されないという事態は、避けなければならない。100%発揮するために、ハイスペック・ハイコストマシンが必要なら、製造する。それに関する面倒ごとの諸々は、我々が解決する。それが役目だからね。2人は、100%実力を発揮するのが仕事だ。言ってしまえば、それだけを考えてくれていればいい。パーツに関しては、総量を増やして十分な数を確保する事で話がついている。」
「何で、そこまでする必要があるんですか?確かに、実力を100%発揮できるMSはありがたいです。同時に、その点に、ある意味病的にこだわる事には、疑問を持ちます。」
カミーユの疑問を聞いて、キャスバルは小さく頷く。
「これから見せる情報は、他言無用だ。ブライト以外にはね。それぐらい危険な事だからだ。」
入念にハッキング及びウィルス対策を施したノートパソコンには、以前にキャスバルがつかんだシナンジュ・スタイン強奪事件が表示された。
「何だ、これは?聞いたことすらないが…。」
事件のあらましに目を通したアムロは、このような事件があることに驚きを感じた。
「この、シナンジュ・スタイン…。設計思想は初めて見ました。僕やレイ中佐だけでなく、ノア司令も知らないとしたら、何らかの考えの為に隠蔽された。と、考えていいでしょうか?」
「そうだ。中々、鋭い所をつくな。カミーユは。この情報を掴んだ後にさらに探ったが、端的に言えば保身のためだ。しかも、生命のな。」
「そんなに、ヤバい事なのか?」
キャスバルの言葉から、アムロは危険な真実に近づきつつあることを感じた。
「何しろ、女帝が関わっている。確証が掴めた。」
それを聞いたアムロとカミーユは、心臓が飛び上がるような感じがした。
高級士官ともなれば、政財界に関しても相応に頭に入る。
故に、マーサ・ビスト・カーバインの名は、ある種の恐怖だった。
「どういうことだ…?」
冷水を飲んで口腔内を湿らせたアムロは、専用MSの開発とマーサとの関りについて尋ねた。
「このシナンジュ・スタインだが、グラナダ工場で女帝の命で極秘製造された。ムーバブルフレームにサイコフレームを組み込み、パイロットの思考を動作にダイレクトに伝える設計思想。そして、サイコフレームの製造施設。どちらも最初はグラナダだ。νガンダムとテロスの設計を通じて、フォン・ブラウン工場も製造技術は身に着けたし、サイコフレームの製造施設もある。だからこそ、今使用できる技術を結集したハイスペックMSが必要なんだ。女帝が何を考えているかは引き続き調査しているが、まだ解らない。が、明らかに、MSが小さくないウェイトを占めている。それに、強奪事件で袖付きに奪われている以上、さらに高性能な機体に改修。もしくは、入手したサイコフレームを使用した、袖付きの新型機が製造されているかもしれん。それ故の、ガンダムだ。最低でも、シナンジュ・スタインを超える性能を持つな。考えてみろ。軍の上層部が、アムロとカミーユにガンダムの組み合わせにいかに難色を示すか。いや、そんな生易しい物じゃないか。恐怖と言った方が早いか。それでも、製造にゴーサインを出した。シナンジュ・スタインの件と、それを起点とする何らかの事件が起きると予想し、真相を知られないまま、収集準備をして、目的を果たす。これが目的。私はそう考えた。」
ひとまず、キャスバルは水を飲む。
「話はよく分かった。女帝は一種の病的権力志向主義者とも言われているから、シナンジュ・スタイン事件はそれと関わりがあるのかもしれないな。で、そっちの思惑は何だ?真実を暴き立てて、保身に明け暮れる上層部を掃除するというわけでもなさそうだな。そっちはそっちで、思惑があるんじゃないか?」
アムロがそう言うと、カミーユも頷く。
「君たちは、ただのエースパイロットではないからだよ。ロンド・ベルの、中心というだけではない。ある意味、スペースノイドの希望でもある。人類が宇宙に出て、スペースノイドは虐げられ続けてきた。私はそれを変えるために、議員になった。カイ・シデンの言葉じゃないが、狙えるのなら大統領も狙おうと最近は考えるようになった。そして、スペースノイドへの差別の解消は、相応に進んでいる。その中で、君たちはスペースノイドでも実力に相応しい地位につけるという例であり、希望なんだ。嘗て連邦にはティターンズがあった。連邦政府の治世に対し少しでも反感を覚えたコロニーの民衆を強制的に鎮圧して、場合によっては毒ガスを注入して、皆殺し。我々は、エゥーゴに集いそれを正すために戦った。そして、ティターンズを打倒することができた。そして、今は、出自に関係なく、軍人としての実力と人格面を精査して入隊が許可されるロンド・ベルがある。司令であるブライト。補佐役にして旗艦の艦長であるメラン。そして、MS隊の中核である百戦錬磨のエースパイロットである、アムロとカミーユ。全員がスペースノイドだ。以前は、こんなことは考えられなかっただろう。この中で、特にスポットライトが当たるのが君たち二人だ。それ故に許される範囲で専用機を与えたい。それだけでも、スペースノイドには差別がさらに解消したと映る。それ位、2人は希望なんだ。そして、切り札でもある。女帝に対してのね。他のエースパイロットでは、女帝への切り札とはならない。その力は、あくまで戦術面に留まる。だが、歴戦のニュータイプにして歴戦のエースパイロットであるアムロとカミーユは、女帝としても他のパイロットたちとは認識が違う。戦略的に力を発揮する。グリプス戦争の時のカミーユの様にね。」
最初は、一パイロットでしかなかったカミーユは、ニュータイプとしての素質を開花し、功績を積み重ねていくことで、ティターンズはエゥーゴの中心的存在と見るようになり、重要目標とするようになっていた。
実際、カミーユが戦死していたら、グリプス戦役においてエゥーゴの勝利はなかったと見る軍事専門家は多数いる。
ロンド・ベルのMS隊の中心ではあるが、アムロとカミーユは同様の存在となっている。
専門家だけでなく、キャスバルもそう見ていた。
「つまり、僕たちに、女帝に対抗できる存在になって欲しい。その為には、専用機であるガンダム。しかも、現状可能なハイスペックMSを駆り、女帝が何らかの手を打った時でも、思惑をひっくり返せる存在になって欲しい。そういう事ですね?」
自分なりに解釈して、カミーユが確認する。
「過大評価と思うかもしれないが、左遷させるにしても、後の人材には女帝も当てがないだろう。地球の危機を救うべく、独自の裁量権、新鋭艦による艦隊、通常部隊より優れたMSと人材による部隊を擁するロンド・ベルの中心にいる君たちは自由に動かせない。それだけでも、女帝の戦略的な手段を潰しているんだ。何を企んでいるかは、まだ調査が必要になるが、その間、軍を玩具の様にいいように扱われるわけにはいかん。それが可能な数少ない存在が、君たちやブライトなんだ。今回の件、心から詫びる。が、どうしても必要だった。それを理解してほしい。袖付きにしても、このままという事はないだろう。そちらにも備えておきたい。サイド4に関しては連携が取れているので心配はいらないが、他のサイドに関しては救援の主力は間違いなくロンド・ベルになる。そういうことでもある。」
そう言って、キャスバルは頭を下げた。
それを見て、アムロは溜息をつく。
「そうまでされたら、批判はできないな。女帝の思惑は僕達には見当もつかないが、やれることはやるよ。軍務に精励することで、さらに戦略的な自由度を狭めることができるのなら、いくらでも精励するさ。が、政治関連は、そちらに任せるぞ。大昔じゃないんだから、軍人が政治に口出しをするのは国家として健全とは言えないからな。あれだけのMSを用意してくれたんだ。成果は出してみせるよ。但し、二度は許さないぞ。」
「ああ。解っているさ。本当に済まない。そして、理解してくれてありがとう。」
後書き
遂に、アムロとカミーユの専用機であるガンダムが、お披露目です。
しかし、それは2人の設計思想とは真逆の、札束で作られた山を原資とした超ハイスペックMS。
以前にナナイが評したように、コストパフォーマンスを抑えたMSとしては、まさに傑作。
が、求められたのは、使用可能な技術を盛り込んだハイスペックMS。
シナンジュ・スタイン強奪事件。
軍でも政府でも知っている者はほとんどいない、極秘事項。
そして、まだ霧の中にあるマーサの思惑。
これ以上、マーサに好き勝手にさせないためにも、必要なのがハイスペックなニュータイプ専用MS。
独自行動権限を与えられているロンド・ベルですら知らなかった、シナンジュ・スタイン強奪事件。
そこから施行を進めていくと、明らかに何らかの形でMSが関わっていく。
それ故に、アムロとカミーユに相応しい、ハイスペックサイコミュマシン。
2人は、それを理解しました。
但し、アムロとカミーユも許すのは一度迄、今度やったら許さないという条件付けで。
いずれにせよ。これで、キャスバル側にとっての最強のMSが遂に完成。
マーサがどう出るかは解りませんが、これで戦術面では互角以上の勝負が可能となります。
地球には、ユニコーンと共にバナージらが下りています。
そこが、ユニコーンが提示した第二のポイントであることは、マーサも理解しているでしょう。
それを知ってマーサはどう出るでしょうか?
さて、ガンダムの頭部にあるのはバルカン砲ではなく、無反動砲です。これは、第二次世界大戦中にドイツで開発された、Düsenkanone方式と呼ばれる方式で、発射時に生じる燃焼ガスをパイプを通じて別の場所に放出するタイプで、この形式を採用した対物20mm狙撃ライフルとして、RT-20があります。
Zガンダムテロスは、ダブルZの色が濃いですね。ちなみにテロスは、ギリシャ語で完成、到達等を意味します。

HGUC -GUNPLA EVOLUTION PROJECT- 機動戦士Zガンダム ゼータガンダム 1/144スケール 色分け済みプラモデル

HGUC 1/144 ZZガンダム (機動戦士ZZガンダム)

HGUC 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア νガンダム (ヘビー・ウエポン・システム装備型) 1/144スケール 色分け済みプラモデル

HGUC 機動戦士ガンダムNT シナンジュ・スタイン (ナラティブVer.) 1/144スケール 色分け済みプラモデル
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この記事へのコメント
遂にアムロとカミーユの最新鋭機がお披露目となりましたね。
アムロのニューガンダムはベルチル版がベースに対して、カミーユのテロスはZガンダムを極限まで進化させた機体でしたね。
この小説では、「機動戦士MOONガンダム」に登場したGドアーズのサイコプレートが基で、サイコフレームが開発されたんですね。
天の配剤、棚からぼた餅とはまさにこの事ですね。
νガンダムは性能の最大公約数を算出しつつ、スペックを現在の
技術で引き上げられるだけ引き上げた機体をコンセプトに考えて
みました。
Zは、攻・防・走全てで優れた機体として、設計を作りました。
どちらも、実現したら、金がかかりすぎますが、アムロとカミー
ユ達は許される機体ですね。
>天の配剤、棚からぼた餅とはまさにこの事ですね。
知将は努めて敵に食むとも、言えるかもしれないですね。
サイコプレートが無ければ、ここまで早くサイコフレームは完成
していないのがこの世界観のサイコフレームです。
それを考えれば、サイコプレートはどれだけの価値があるかが解
るという物。アナハイムはサイコミュでは後発でしたからね。