ヨルムンガンド二次創作 第41話 Bomb man and fool both Phase1
一面の砂漠。
凄まじい暑さ。
その中に伸びる道路を、コンボイの一団が走っていた。
全て、HCLIのコンボイである。
運送を請け負っているのは、ココとソフィである。
が、運んでいるのは、武器ではなく学校を建てる為の資材や土木機械である。
「俺達には、似合わねえって感じだよな。学校づくりの資材とかを運ぶなんて。」
「ソフィのリハビリには、ちょうどいいんだよ。それに、会社のイメージアップも必要な訳だ。解るか?ルツ。」
「解ってるっての。ただ、似合わねえなってのは解るだろ。」
「だから、お嬢は選んだんだよ。ソフィのメンタル面を考慮した時には、最初はこういうのがいいってな。」
「ま。それは俺も正しいと思う。いきなりドンパチは、反対だぜ。」
ルツとアールはレームと同じコンボイに乗っているソフィの事を考えながら、話していた。
南アでリフレッシュしたとはいえ、ソフィのメンタルヘルスが問題ないとは言い難い。
それを考慮して、ココは今回HCLIのイメージアップの一環として計画されていたこの計画を請け負う事にした。
そして、ソフィの傍には部隊の最年長者にして戦闘力でもトップクラスのレームを居させた。
これは、ココがソフィの部隊のリーダーのバリーと主にソフィのガードを担当するエリと考えた結果だった。
コンボイの一団には、M134 7.62mmガトリング砲を装備した、軍用汎用軽輸送車ハンヴィーに、M2 12.7mm重機関銃を装備した物とH&K GMWグレネードマシンガンを装備した2種類の装輪装甲車ピラーニャⅢが同行している。
イラクでは、2つ以上のPMCが同行するのが普通なのでココが今回の輸送の為に雇ったのである。
今回はソフィのリハビリも兼ねているので、下衆なPMCを雇わないように慎重に選んだ。
今回同行しているのは、イギリスのPMC PGC(Perfect Gurdian’s Company)社である。
創立者は、イギリスのSAS出身者で、社員はイギリス軍の退役兵が多数を占める。
非常に規律が厳しく、民間人に対する暴行の類はどんな理由があっても厳禁されており、その場で武装解除されて解雇。置き去りになる事になっている。
海運業界ではトップのHCLIからの依頼とあって、社の執行部も信頼度の高い人間を特に選抜して送っている。
「ミス・ヘクマティアル。聞こえますか?まずは、行きの半分を越えました。」
「聞こえますよ。わざわざどうも。」
「どういたしまして。でも、油断しないでください。今のイラクはある意味以前より危険ですからね。」
隊長がココに注意を促す。
「何だ?ゲリラの類が増えたのか?」
湾岸戦争でイラクに来た経験のあるレームが、通信で質問する。
「まあ。それもあるがね。ミスターブリック。ならず者共が出るんだよ。」
「何だそりゃ?」
湾岸戦争後しばらくイラクにいたレームにも、心当たりがなかった。
「押し売りのPMCさ。安くするとか言って、道端で雇えと誘って雇ったら後で追加報酬を吹っかけて、雇わないと言ったら脅して雇わせるのさ。」
「あきれた連中がいるものですね。」
「心配するな。我々は、そんな連中からもあなたがたを守るのも仕事だ。全員の練度も保証する。」
隊長が、自信たっぷりで言う。
「別に俺達だけでも、問題はねえんだけどな。念には念を入れてココが選んだだけに、律儀なこった。」
レームが苦笑する。
「でも、信用できることが確認できましたから、いいじゃないですか。もっとも用心に越したことはありませんけれど。我々の戦闘力だけでも問題ないと思いますが、味方は多い方がいい。特に信頼できる味方はね。」
「そりゃそうか。にしても、あれだな。こうしてイラクに来るとワイリに会った時の事を思い出すぜ。」
レームが昔を懐かしむような表情になる。
「ワイリさんとですか?湾岸戦争あたりですか?」
「当たりだ。俺がデルタの大尉で、ワイリが工兵旅団の少尉だったころだ。化学プラント潰せって命令を受けたんで、俺の部下とワイリの5人で潰しに向かって見事にペチャンコにしたんだぜ。見せてやりたかったぜ。」
「ペチャンコ?どういう事です。」
言っている意味が良く解らなくて、ソフィがワイリに訊ねる。
「そのままさ、プラントは吹っ飛ばなくてペチャンコに潰れたのよ。ワイリの爆破テクニックでな。あいつの家は、代々建築専門家の家柄でな。爺さんも親父さんも建築家だ。で、ワイリも建築学の名門ヴァージニア工科大学に行ったんだが、何を考えたのか建物を作る方じゃなくて吹っ飛ばす側の戦闘工兵になった訳だ。俺が知る限り、誰よりもぶっとんだ奴だぜ。あいつは。」
「何で、建築家にならなかったんですかね?」
「さあな。そこん所は、未だに俺にもよく解らん。建築物の爆破にしても、卒論に書いた程度だったはずなんだが…。何でなんだかな。機会があれば聞いてみろ。」
「あればね。他人の過去を詮索するのは、好みじゃないですし。あ、お水どうぞ。定期的に水を飲んでおかないと、砂漠だと脱水症状になりますから。塩分不足にならないように少し塩を入れていますので、あしからず。」
そう言って、ソフィはレームにふたを開けたペットボトルを渡す。
「気が利くな。砂漠に慣れてるのか?」
レームは水を飲んだ後に、ソフィに質問する。
なるべく過去をほじくらないようにして会話をする事で、心を解きほぐそうというレームの配慮だった。
「イランの部族抗争で、砂漠の戦いは慣れてますよ。アフガニスタンにも行きましたし。その後には、イラクの政府側の傭兵として雇われていましたから。」
「お前の歳から考えると、俺はその時本国に帰ってたか。で、お前の目から見て、今のイラクは以前より安全になってるか?それとも、ヤバくなっているか?」
「難しい質問ですね…。」
ソフィは、少し考え込む。
「以前に聞いた話だと、民間人に化けたイスラム原理主義組織の構成員が、自爆テロを起こすことは無いそうです。けれども、パキスタン等のイスラム国家では相変わらずタリバンを始めとする、イスラム原理主義組織への支持は結構高いそうで、資金も流れているらしいですね。中には、AKを買って自らはせ参じるのもいるそうですから、相変わらず危険な事には変わりはないんじゃないですか?見える分だけまだましですけれど。」
「まあな。民間人に化けた自爆テロを防ぐのは、至難の業だからな。まさか、民間人を皆殺しにする訳にもいかねえ。困ったもんだぜ。」
「まったくです。だから、PMCが稼げると踏んでイラクに来て、中にはろくでもないのがいると。まあ、こんな感じでしょう。珍しく、武器以外の物を運んでいるんですから、なるべくドンパチは避けたいですよ。」
「同感だぜ。」
レームが心から賛同する。
その時、前方に数台の車を擁する一団が見えた。
「全車停止。私が話を聞く。バルメ、ついてきて。」
「はい。」
ココとバルメが、コンボイから降りる。
「エリさん。ちょっと降りてきてください。僕も行きます。」
「解りました。」
「お前が行かなくても、いいんじゃねえのか?」
今は、こういう事に関わらない方がいいと考えたレームは、ソフィに話しかける。
「お気遣いはありがたいのですが、僕も一団の半数近くを預かる身。ココさんだけに任せることはできませんよ。」
ベレッタのマガジンに弾丸が全弾装填されていることを確認し、予備のマガジンも2つ持っていく。
「ソフィ。あなたまで来なくて、いいんですよ。」
「僕もコンボイを預かる身。知らぬふりはできませんしね。で、ココさん。この人達は。」
M2重機関銃にロシア製分隊支援火器RPDをピックアップトラックの荷台に乗せて、数台の車を擁し、Aimpoint COMP M2ダットサイトにキャリングハンドルを装備した7.62mm×39を使用するイジェマッシ AK-12を主装備とする、男達だった。
「押し売りPMCの方々だよ。」
「押し売りってのはないんじゃないですかね?お嬢さん。まだまだイラクは物騒だ。サービス価格で俺達が警護しますよ。」
リーダーらしい男が、ココに交渉を持ちかけてくる。
「いらない。間に合っている。私達には腕利きの私兵がいるし、PMCなら間に合っている。」
ココは、きっぱりと断る。
「まあまあ。そう言わずに。あんた達が今迄どこでブツを運んできたかは知らねえが、ここはイラクだ。他の土地の常識は通じねえぜ。俺達PMC“エクスカリバー”を雇っておいた方が断然お得だ。ここの事は、よ~く知ってるしな。」
「おい。あの眼帯女。すっげえボインじゃねえか。」
「だよなあ。あのボインを揉みしだきながら、ファックしてえぜ。」
「リーダー方も、なかなかいい女だぜ。」
「あっちの女も、上玉だ。」
「いいねいいね。やりがいあるね~。」
ココ達に聞こえる事も気にせずに、エクスカリバーの社員達は卑猥な視線で卑猥な会話を続ける。
『なるほど。ならず者共だ…。』
ソフィも、さすがに呆れかえった。
「その下品な口を、閉じてもらいましょうか。耳が腐ります。」
ソフィの視線が、鋭くなる。
「口は気を付けた方がいいですよ。痛い目見たくないでしょう。」
『準備OK。合図すれば、いつでも降車して叩きのめせるぜ。』
それを聞いて、ソフィは指を鳴らせるようにして右手を上げる。
「いますぐ、ここを通してもらいましょうか?さもなければ、パチンと指を鳴らします。そうすれば、私の部下が来る。全員、特殊部隊出身者の百戦錬磨の傭兵たちです。引き下がった方が、身の為ですよ…。ああ、こっちの女性は僕のボディガードと秘書を兼ねている人ですが、彼女も特殊部隊出身者です。」
ソフィの言葉を聞いて、エクスカリバーの社員達の表情が変わる。
ソフィが嘘をついているようには、見えなかった。
「そういう事。じゃあ、そこどいて。」
エクスカリバーのメンバーが、悔しそうに顔を歪める。
「聞こえなかったのか?それとも、耳がイカれてるのか?とっとと失せろ。盗賊風情が。」
ココに言われて、かろうじて激昂するのを自制しつつココ達の前を去る。
「やれやれ。楽には行きそうもない。ドンパチを覚悟しておいた方が良さそうですね。連中、仕返しに来ますよ。僕です。各自、ライフルと拳銃のマガジンを、可能な限り用意しておいてください。それから、ミロさんはツァスタバを用意してください。僕は、ワルサーで後方から狙撃による支援を。場合によってはアサルトライフルで、戦います。」
「おいおい。お前さんは俺達のボスだぜ。そろそろ、前線で戦うのはやめろって、後ろから指示を出すのがお前さんの仕事だ。」
バリーは、前線では自分が指揮を執りソフィは後方から全体を見回し指示を出すべきだと考えていたので、いざとなったらソフィが前線に加わるのに反対する。
「場合によってはですよ。バリーさん達だったら、僕が出る幕は無いでしょうけど狙撃位はね。そういう事です。」
「了解。けど、ヤバそうになったら戦線から離脱しろよ。」
「解ってますよ。」
「ワイリ。先頭に出て。挟撃を考慮する必要がある。お願いね。」
「了解。」
ワイリがコンボイの一団の先頭になり、その前をピラーニャⅢが固める。
「じゃ。その前に腹ごしらえね。腹が減っては何とやらだから。」
後書き
原作だとワイリの過去が明らかになる、イラク編です。
そのままでは面白くないので、細部は独自の設定を入れています。
今回は、ソフィのメンタル面を考慮して、武器以外の物を運んでいます。
いきなり、ドンパチの危険のある仕事は、確かにやめた方がいいでしょうしね。
さて、今のイラク。
個人的には、まだ危ない気がしますね。
中東は相変わらず、アル・カイダと関連がありそうな組織がいるようですし、肝心のアル・カイダにしても息の根を止められているわけでは無し。
テロリストは敵が見えないですから、普通の軍隊を相手にするのとは勝手が違うのでリスクは跳ね上がるでしょう。
故に、学校建設の資材や土木機械を運んでると言っても信頼のおけるPMCを雇う事をココは選択。
でも、どこにでもゴロツキはいる物。
早速出てきます。
追い払いはしましたが、この手の類は逆恨みが根深いのが相場です。
早速、臨戦態勢。
さて、どうなりますやら。
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凄まじい暑さ。
その中に伸びる道路を、コンボイの一団が走っていた。
全て、HCLIのコンボイである。
運送を請け負っているのは、ココとソフィである。
が、運んでいるのは、武器ではなく学校を建てる為の資材や土木機械である。
「俺達には、似合わねえって感じだよな。学校づくりの資材とかを運ぶなんて。」
「ソフィのリハビリには、ちょうどいいんだよ。それに、会社のイメージアップも必要な訳だ。解るか?ルツ。」
「解ってるっての。ただ、似合わねえなってのは解るだろ。」
「だから、お嬢は選んだんだよ。ソフィのメンタル面を考慮した時には、最初はこういうのがいいってな。」
「ま。それは俺も正しいと思う。いきなりドンパチは、反対だぜ。」
ルツとアールはレームと同じコンボイに乗っているソフィの事を考えながら、話していた。
南アでリフレッシュしたとはいえ、ソフィのメンタルヘルスが問題ないとは言い難い。
それを考慮して、ココは今回HCLIのイメージアップの一環として計画されていたこの計画を請け負う事にした。
そして、ソフィの傍には部隊の最年長者にして戦闘力でもトップクラスのレームを居させた。
これは、ココがソフィの部隊のリーダーのバリーと主にソフィのガードを担当するエリと考えた結果だった。
コンボイの一団には、M134 7.62mmガトリング砲を装備した、軍用汎用軽輸送車ハンヴィーに、M2 12.7mm重機関銃を装備した物とH&K GMWグレネードマシンガンを装備した2種類の装輪装甲車ピラーニャⅢが同行している。
イラクでは、2つ以上のPMCが同行するのが普通なのでココが今回の輸送の為に雇ったのである。
今回はソフィのリハビリも兼ねているので、下衆なPMCを雇わないように慎重に選んだ。
今回同行しているのは、イギリスのPMC PGC(Perfect Gurdian’s Company)社である。
創立者は、イギリスのSAS出身者で、社員はイギリス軍の退役兵が多数を占める。
非常に規律が厳しく、民間人に対する暴行の類はどんな理由があっても厳禁されており、その場で武装解除されて解雇。置き去りになる事になっている。
海運業界ではトップのHCLIからの依頼とあって、社の執行部も信頼度の高い人間を特に選抜して送っている。
「ミス・ヘクマティアル。聞こえますか?まずは、行きの半分を越えました。」
「聞こえますよ。わざわざどうも。」
「どういたしまして。でも、油断しないでください。今のイラクはある意味以前より危険ですからね。」
隊長がココに注意を促す。
「何だ?ゲリラの類が増えたのか?」
湾岸戦争でイラクに来た経験のあるレームが、通信で質問する。
「まあ。それもあるがね。ミスターブリック。ならず者共が出るんだよ。」
「何だそりゃ?」
湾岸戦争後しばらくイラクにいたレームにも、心当たりがなかった。
「押し売りのPMCさ。安くするとか言って、道端で雇えと誘って雇ったら後で追加報酬を吹っかけて、雇わないと言ったら脅して雇わせるのさ。」
「あきれた連中がいるものですね。」
「心配するな。我々は、そんな連中からもあなたがたを守るのも仕事だ。全員の練度も保証する。」
隊長が、自信たっぷりで言う。
「別に俺達だけでも、問題はねえんだけどな。念には念を入れてココが選んだだけに、律儀なこった。」
レームが苦笑する。
「でも、信用できることが確認できましたから、いいじゃないですか。もっとも用心に越したことはありませんけれど。我々の戦闘力だけでも問題ないと思いますが、味方は多い方がいい。特に信頼できる味方はね。」
「そりゃそうか。にしても、あれだな。こうしてイラクに来るとワイリに会った時の事を思い出すぜ。」
レームが昔を懐かしむような表情になる。
「ワイリさんとですか?湾岸戦争あたりですか?」
「当たりだ。俺がデルタの大尉で、ワイリが工兵旅団の少尉だったころだ。化学プラント潰せって命令を受けたんで、俺の部下とワイリの5人で潰しに向かって見事にペチャンコにしたんだぜ。見せてやりたかったぜ。」
「ペチャンコ?どういう事です。」
言っている意味が良く解らなくて、ソフィがワイリに訊ねる。
「そのままさ、プラントは吹っ飛ばなくてペチャンコに潰れたのよ。ワイリの爆破テクニックでな。あいつの家は、代々建築専門家の家柄でな。爺さんも親父さんも建築家だ。で、ワイリも建築学の名門ヴァージニア工科大学に行ったんだが、何を考えたのか建物を作る方じゃなくて吹っ飛ばす側の戦闘工兵になった訳だ。俺が知る限り、誰よりもぶっとんだ奴だぜ。あいつは。」
「何で、建築家にならなかったんですかね?」
「さあな。そこん所は、未だに俺にもよく解らん。建築物の爆破にしても、卒論に書いた程度だったはずなんだが…。何でなんだかな。機会があれば聞いてみろ。」
「あればね。他人の過去を詮索するのは、好みじゃないですし。あ、お水どうぞ。定期的に水を飲んでおかないと、砂漠だと脱水症状になりますから。塩分不足にならないように少し塩を入れていますので、あしからず。」
そう言って、ソフィはレームにふたを開けたペットボトルを渡す。
「気が利くな。砂漠に慣れてるのか?」
レームは水を飲んだ後に、ソフィに質問する。
なるべく過去をほじくらないようにして会話をする事で、心を解きほぐそうというレームの配慮だった。
「イランの部族抗争で、砂漠の戦いは慣れてますよ。アフガニスタンにも行きましたし。その後には、イラクの政府側の傭兵として雇われていましたから。」
「お前の歳から考えると、俺はその時本国に帰ってたか。で、お前の目から見て、今のイラクは以前より安全になってるか?それとも、ヤバくなっているか?」
「難しい質問ですね…。」
ソフィは、少し考え込む。
「以前に聞いた話だと、民間人に化けたイスラム原理主義組織の構成員が、自爆テロを起こすことは無いそうです。けれども、パキスタン等のイスラム国家では相変わらずタリバンを始めとする、イスラム原理主義組織への支持は結構高いそうで、資金も流れているらしいですね。中には、AKを買って自らはせ参じるのもいるそうですから、相変わらず危険な事には変わりはないんじゃないですか?見える分だけまだましですけれど。」
「まあな。民間人に化けた自爆テロを防ぐのは、至難の業だからな。まさか、民間人を皆殺しにする訳にもいかねえ。困ったもんだぜ。」
「まったくです。だから、PMCが稼げると踏んでイラクに来て、中にはろくでもないのがいると。まあ、こんな感じでしょう。珍しく、武器以外の物を運んでいるんですから、なるべくドンパチは避けたいですよ。」
「同感だぜ。」
レームが心から賛同する。
その時、前方に数台の車を擁する一団が見えた。
「全車停止。私が話を聞く。バルメ、ついてきて。」
「はい。」
ココとバルメが、コンボイから降りる。
「エリさん。ちょっと降りてきてください。僕も行きます。」
「解りました。」
「お前が行かなくても、いいんじゃねえのか?」
今は、こういう事に関わらない方がいいと考えたレームは、ソフィに話しかける。
「お気遣いはありがたいのですが、僕も一団の半数近くを預かる身。ココさんだけに任せることはできませんよ。」
ベレッタのマガジンに弾丸が全弾装填されていることを確認し、予備のマガジンも2つ持っていく。
「ソフィ。あなたまで来なくて、いいんですよ。」
「僕もコンボイを預かる身。知らぬふりはできませんしね。で、ココさん。この人達は。」
M2重機関銃にロシア製分隊支援火器RPDをピックアップトラックの荷台に乗せて、数台の車を擁し、Aimpoint COMP M2ダットサイトにキャリングハンドルを装備した7.62mm×39を使用するイジェマッシ AK-12を主装備とする、男達だった。
「押し売りPMCの方々だよ。」
「押し売りってのはないんじゃないですかね?お嬢さん。まだまだイラクは物騒だ。サービス価格で俺達が警護しますよ。」
リーダーらしい男が、ココに交渉を持ちかけてくる。
「いらない。間に合っている。私達には腕利きの私兵がいるし、PMCなら間に合っている。」
ココは、きっぱりと断る。
「まあまあ。そう言わずに。あんた達が今迄どこでブツを運んできたかは知らねえが、ここはイラクだ。他の土地の常識は通じねえぜ。俺達PMC“エクスカリバー”を雇っておいた方が断然お得だ。ここの事は、よ~く知ってるしな。」
「おい。あの眼帯女。すっげえボインじゃねえか。」
「だよなあ。あのボインを揉みしだきながら、ファックしてえぜ。」
「リーダー方も、なかなかいい女だぜ。」
「あっちの女も、上玉だ。」
「いいねいいね。やりがいあるね~。」
ココ達に聞こえる事も気にせずに、エクスカリバーの社員達は卑猥な視線で卑猥な会話を続ける。
『なるほど。ならず者共だ…。』
ソフィも、さすがに呆れかえった。
「その下品な口を、閉じてもらいましょうか。耳が腐ります。」
ソフィの視線が、鋭くなる。
「口は気を付けた方がいいですよ。痛い目見たくないでしょう。」
『準備OK。合図すれば、いつでも降車して叩きのめせるぜ。』
それを聞いて、ソフィは指を鳴らせるようにして右手を上げる。
「いますぐ、ここを通してもらいましょうか?さもなければ、パチンと指を鳴らします。そうすれば、私の部下が来る。全員、特殊部隊出身者の百戦錬磨の傭兵たちです。引き下がった方が、身の為ですよ…。ああ、こっちの女性は僕のボディガードと秘書を兼ねている人ですが、彼女も特殊部隊出身者です。」
ソフィの言葉を聞いて、エクスカリバーの社員達の表情が変わる。
ソフィが嘘をついているようには、見えなかった。
「そういう事。じゃあ、そこどいて。」
エクスカリバーのメンバーが、悔しそうに顔を歪める。
「聞こえなかったのか?それとも、耳がイカれてるのか?とっとと失せろ。盗賊風情が。」
ココに言われて、かろうじて激昂するのを自制しつつココ達の前を去る。
「やれやれ。楽には行きそうもない。ドンパチを覚悟しておいた方が良さそうですね。連中、仕返しに来ますよ。僕です。各自、ライフルと拳銃のマガジンを、可能な限り用意しておいてください。それから、ミロさんはツァスタバを用意してください。僕は、ワルサーで後方から狙撃による支援を。場合によってはアサルトライフルで、戦います。」
「おいおい。お前さんは俺達のボスだぜ。そろそろ、前線で戦うのはやめろって、後ろから指示を出すのがお前さんの仕事だ。」
バリーは、前線では自分が指揮を執りソフィは後方から全体を見回し指示を出すべきだと考えていたので、いざとなったらソフィが前線に加わるのに反対する。
「場合によってはですよ。バリーさん達だったら、僕が出る幕は無いでしょうけど狙撃位はね。そういう事です。」
「了解。けど、ヤバそうになったら戦線から離脱しろよ。」
「解ってますよ。」
「ワイリ。先頭に出て。挟撃を考慮する必要がある。お願いね。」
「了解。」
ワイリがコンボイの一団の先頭になり、その前をピラーニャⅢが固める。
「じゃ。その前に腹ごしらえね。腹が減っては何とやらだから。」
後書き
原作だとワイリの過去が明らかになる、イラク編です。
そのままでは面白くないので、細部は独自の設定を入れています。
今回は、ソフィのメンタル面を考慮して、武器以外の物を運んでいます。
いきなり、ドンパチの危険のある仕事は、確かにやめた方がいいでしょうしね。
さて、今のイラク。
個人的には、まだ危ない気がしますね。
中東は相変わらず、アル・カイダと関連がありそうな組織がいるようですし、肝心のアル・カイダにしても息の根を止められているわけでは無し。
テロリストは敵が見えないですから、普通の軍隊を相手にするのとは勝手が違うのでリスクは跳ね上がるでしょう。
故に、学校建設の資材や土木機械を運んでると言っても信頼のおけるPMCを雇う事をココは選択。
でも、どこにでもゴロツキはいる物。
早速出てきます。
追い払いはしましたが、この手の類は逆恨みが根深いのが相場です。
早速、臨戦態勢。
さて、どうなりますやら。
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